イタリア / アルゼンチン / フランス
マクシミリアーノ・ティネオ:
HEARTH
『hearth(ハース)』は、作者自身の体験の考察が、写真、アーカイブ画像、グラフィック、個人の記録、映像やサウンドインスタレーションが一体となって紡がれた作品です。本作は、2022年から2025年にかけてフランスとアルゼンチンで制作されました。
作者はエッセイの中で、移民としての経験を背景に、「ルーツを失うこと」、「居場所があること」や、「故郷」という概念を、個人的な視点から見つめ直します。
タイトルの「hearth」は古英語に由来し、人々が帰る場所である「家」と人々が日を囲んで集う場所「暖炉」、その両方の意味を内包しています。
移住することは、自分のものを手放すことです。その過程を耐え抜くため、いつしか私たちは心に鎧を纏うようになります。
私たちは結局、どこにいても異国の者となります。「帰ること」と「戻ること」は同義ではなく、私たちが同じ場所に戻ることなど、決してないのです。到着と帰還は、似て非なる行為です。
この作品が扱うのは「家」そのものへの郷愁ではなく、「居場所」への切実な願いです。失われたものへのかすかなノスタルジアと喪失感を見つめ、分かち合いながら、自分の「根/ルーツ」となる居場所を失っていく感覚の縁に立ってみましょう。
家をつくるものは、積み上げられたレンガだけではないのです。











帰る:以前いた場所に戻ってくること。
行く:ここではない場所に向かって移動すること。
来る:対象に向かって動くこと、または対象とともに動くこと。
着く:ある場所に到達すること。旅の終わりを指すことが多い。
































hearth:[名詞][古]部屋の床の一部で、家庭用の暖炉が設けられる場所。現代の住宅では、壁際の煙突の下にあり、部屋中で目立つ存在であることが多い。また、暖炉の下の床面や、暖炉の前の敷石・タイル部分も含まれる。広義には、家庭や、落ち着いた住まいを指す。
